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第3回目 脊髄造影について
左の図の四角に拡大した部分の青いラインが硬膜で赤いラインがくも膜、緑のラインが脊髄の周囲の軟膜です。造影剤は赤と緑の間の黒いくも膜下腔の部分に注入します。
今回は、当院で椎間板ヘルニアの診断に使っている脊髄造影(ミエログラフィー)についてお話ししてみようと思います。 脊髄は、周りを硬膜とくも膜という2枚の膜に包まれています。膜と脊髄の間(くも膜下腔)は髄液という液で満たされていているのですがここに造影剤を注入してレントゲン写真で脊髄の姿を映し出す検査が脊髄造影です。
![]() @の写真は椎間板ヘルニアの子の単純レントゲン写真です。椎骨の様子は把握できますが、とびだした椎間板物質や脊髄の姿は写ってきません。
Aは同じ子のミエログラフィーをしたあとの写真です。 背骨の真ん中を通る2本の線が造影剤のラインで脊髄の姿を表します。第2腰椎と第3腰椎の右側(レントゲン写真に向かって左側)から椎間板物質に脊髄がおされている様子が見てとれます。 最近では動物病院でもCTやMRIが使えるところが増えてきました。 それによりミエログラフィーは以前にくらべると行われる頻度は少なくなってきているかもしれません。
昔から行われていた方法なので新しいCTやMRIの診断にはかなわないのではないかと飼い主様からもご指摘を受ける事があります。椎間板ヘルニアに関しては、それがそうでもないのです。 以前私が埼玉にいた時は、MRIの画像を見て手術をしておりました。 現在椎間板ヘルニアの手術は100%ミエログラフィーで行っております。手術をする人間から言わせてもらいますと少し難易度は高いのですがこの技術を習得すると「手術がしやすい」のです。
第5第6腰椎間にスパイナル針を刺入しているところ。
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例えば左の写真のように、椎間板物質が脊髄をおし上げていたとします。手術でその部位をアプローチすると、そのままの大きさ形で椎間板物質がおし上げてそこに存在するのです。また、そこに到達するまで背骨の一部を削っていくのですが、どこからどこまでを削ればいいのか一目瞭然なのです。
椎間板ヘルニアが急性に起こった場合、進行性脊髄軟化症になることがあります。これは胸腰部椎間板ヘルニアの症例の3〜6%、深部痛覚消失症例の9.8%で起こるといわれています。重度の脊髄損傷に続発して虚血性壊死がおこり2日から4日以内に亡くなることが多い恐ろしい病態です。 この病態を術前に把握するのは難しいのですが、下のミエログラフィーのように進行性脊髄軟化症だと脊髄の中に染み込んできます。
また、ある程度の予後の判定もできると言われております。脊髄が腫脹し(むくみ)、造影剤が見えなくなることがあります。
その造影剤の欠損部位の長さが、第2腰椎の5倍以上の長さある場合は、回復率25%でその欠損部位の長さが5倍未満であれば60%というデータがあります。 また、手術を前提に検査をしておりますので、椎間板ヘルニアの確定診断ができ、手術部位が解れば同じ麻酔のままでそのまま手術に移行でき体への負担も少ないです。 このようにミエログラフィーは、造影剤が頭蓋内に入らないように注意する必要がありますがそこに注意すればとても有用な診断手技なのです。 |
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