わたしたちのオンリーワンストーリー
第2章 目に見えるサービス、目に見えないサービス。
● 良いサービスって何だろう?
 ワラビー動物病院グループでは、CS(顧客満足)とES(従業員満足)の研修プログラムをスタッフ教育の一環に取り入れています。研修では講師の話を聞いたり、シミュレーション演習を行なったりすることのほかに、DVD教材を見てみんなで意見交換することもあります。グループとして、私達がめざすのはどんなサービスなのか。それをみんなで話し合い、共通認識のもとでお客様に提供していかなければ、組織としてのアイデンティティを確立していくことは難しい。そんな思いからワラビー動物病院グループでは、コミュニケーション教育に力を注ぐようになりました。
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 そもそも、サービスの定義って実は非常に難しいんです。何をもって、どこまでをサービスと呼ぶか。その解釈は人によって異なります。たとえば、ハンバーガーショップで、決められたメニューしか提供していない時間帯に、それ以外の注文をしたお客様がいたとしますよね。どうするか。普通は当然お断りするでしょう。でも例外的に対応する場合も出てくるかもしれない。それはその時々の現場の判断にゆだねられるわけです。結果は対応するスタッフによって違ってきますよね。あるスタッフは「その時の店の状況と照らし合わせ、そのサービスを提供することで他のお客様に不公平感を与えないなら」という条件付きでOKを出し、またあるスタッフは「他のお客さんと違うことを特別にしてあげるのはサービスに差がつくので良くない」と言いました。ケースバイケースでお客様の満足を追求するのが良いサービスなのか、決められた範囲のことを過不足なく提供するのが良いサービスなのか、考え方は十人十色。だからこそ、話し合って考えて、じゃあワラビー動物病院グループではどういう方針でいくのかということを固めていく必要があると思うんです。みんな違う価値観を持っているからそれをまとめていくのは大変ですが、だからこそ偏った方向にいかなくて済むというメリットもある。自分と違う考え方から学ぶものはあるでしょうし、経験を積むうちに考え方に幅がでてくるなど自分自身の変化もちゃんと自覚できるようになるかもしれない。お客様へのサービスについて真剣に考えることで、私達も成長していきたいと思っています。
● サービスの「形」と「質」
 私達は様々な形でお客様にサービスをご提供しています。お客様により満足していただくためには、診療サービスだけが良くてもだめで、今はトータリティで判断される時代。病院に来られてから帰られるまでの時間を、いかに気持よく過ごしていただくか。そのために私達は接客面でも設備面でもいろいろなアイデアを出し合いながら、サービスを充実させるよう努力しています。
 お客様の身になって考える想像力が豊かになれば、できること、したほうがいいことが身のまわりにいっぱいあることが見えてくる。玄関に人影が見えたら、近くにいるスタッフがパッと行ってドアを開けて差し上げるとかいうこともそうですし、待合室で退屈しないよう雑誌を置いたり、飴玉をカゴに入れておいたり、私達のホームページで掲載している読み物等をプリントして置いておくとかいうこともそう。感謝の気持を伝えるのに年末にはカレンダーを配布したり、夏にはうちわをプレゼントしたり。もっと細かいことで言うと、トイレを気持よく使っていただけるよう紙の便座シートを用意するとかいうことも全部そうなんですよね。一口にサービスと言っても、実に様々な表現の形があります。
 また、形はなくても、心に伝わるサービスというのもあります。同じサービスでも、より心を込めて、質を上げていく努力をすることで、お客様の満足や信頼をより確かなものにすることができる。笑顔で接するとか、気を配るとか、声かけをするとか、スタッフ全員がそういうことを意識して日々の業務に務めるだけで、サービスの水準はずいぶん上がるし、病院としての存在価値にもつながっていくと思うんです。
 私達のサービスはもちろんまだまだ未熟ですし、サービスには終わりがないですから、もっと良くしようもっと良くなろうという気持で進んでいくしかない。自分達よりもっと優れたサービスを提供するところが出てきたら、お客様はそっちに行ってしまうわけですからね。ワラビー動物病院グループは今、勤務医が8名いるんですが、サービスを充実させて利益を上げていかないと、健全なチーム医療体制を維持できない。それから人数が多いせいで命令系統がハッキリしないという側面もあるので、指示伝達経路も改善していかなければならない。「並」の病院から抜け出すためには、スタッフ一人ひとりが自発的に自分のサービスを見つめ直したり、個と全体の両方を大事にして行動することが求められてくるのです。 (談)